マギーとは、スイスの食品ブランドの名前で、マレーシアではその食生活に欠かせないチリソースから調味料まで、マギー社の製品が数多く販売されている。

しかしながら、マギーと聞いて人々がまず思い浮かべるのは、インスタントヌードルのことであろう。かつて、ウォークマンと言えば、ブランドに関係なくポータブルカセットプレイヤーのことを指していたように、マレーシアで“マギー”とは、インスタントヌードルを意味するといっても過言ではない。

たとえ普段はそんなに食べていない人でも、海外に出張・赴任・留学などで長期滞在する場合は必ずと言っていいほど持参するか、あるいは家族にお願いして送ってもらうものである。ちょっと小腹がすいたときやマレーシアが恋しくなったときに、救世主として大事な役目を果たすものなのである。

故に、『イスタンブールに来ちゃったの』でマギーのアッサムラクサの最後の一袋を食べられてしまった男性のショックは計り知れない。しかもそれが、頑張れば何とか手に入るかもしれないカレー味でなく、アッサムラクサ味であるから、尚更である。

text by 国際交流基金クアラルンプール日本文化センター　久貝京子